新井ゆたか消費者庁長官インタビュー 消費者力の育成を支援
- 2024/5/13
- くらし
消費者月間特別インタビュー
◎デジタル時代の消費者行動を提唱 体験型消費者教育も積極化
今年の「消費者月間」は「デジタル時代に求められる消費者力とは」をテーマに開催される。消費者被害の防止・救済に向け、「気づく」「断る」「相談する」という消費者行動の重要性が呼びかけられる。社会のデジタル化が今後もいっそう消費生活に激変を迫ることが予想され、望むべき未来と見えない不安で混沌とする感情が社会に渦巻く中、消費者行政はどんな展望を提起するのか。ニッポン消費者新聞は消費者月間にちなみ、消費者庁・新井ゆたか長官に施策方針をインタビューした。新井長官は、生活の多様性が常識となるデジタル時代では、個々に営まれるそれぞれの消費生活と消費者行政施策との間にブリッジを架け、消費者の利益増進に向けて社会全体が、より良い方向へと動いていくことが求められると指摘。時代に対応した消費者行政の役割を説明しつつ、複雑化する課題を踏まえ、消費者力を高めていく取組を推進していくことを明らかにした。関係省庁、地方消費者行政、消費者団体及び事業者団体との協働を構築しながら消費者政策に取り組んでいくとしている。
◎トラブル防止へ消費者の実践力重視
社会のデジタル化は消費生活にかつてない環境変化をもたらしています。デジタル機器によって生活の利便性が高まる一方、従来の消費者トラブルに加え、複雑・多様化する新しい消費者被害も発生しています。被害の未然・拡大防止をどう実現していくか、その課題を踏まえ、今年の消費者月間はこのようなデジタル時代に求められる消費者力の育成・向上をめざし、消費者問題の重要性を改めて考えていただく機会として位置付けました。
消費者庁は消費者の権利の尊重と自立支援を重要な任務としています。消費者被害の防止と救済に向けて悪質事業者を厳正に処分することを通し、悪質商法を市場から排除するとともに、悪質商法にだまされないよう消費者の自立を促す施策を推進しています。今年の消費者月間は消費者の自立を担保する消費者力の向上を支援し、各種行政機関との連携をはじめ、5月17日には消費者月間シンポジウムを開催します。
月間テーマに示されたデジタル時代の消費者力とは、消費者自身による実践力を意味し、「気づく力」「断る力」「相談する力」を掲げています。周りの消費者に消費生活センターなどへの相談を勧めたり、事業者に改善を要望したり、などといった「働きかける力」も重要です。
◎体験型教材を開発・普及、消費者力向上をサポート
消費者庁が実施する消費者力を育む取組例としては、体験型教材の開発・普及があげられます。今年4月には「鍛えよう、消費者力」というテーマで3つの映像コンテンツを作成し、体験会を開いて公表しました。特設サイトも設置し、誰もが視聴できますので幅広い活用を期待しています。
その中での新しい試みとしては、VR(バーチャル・リアリティ)動画を使って……(以下続く)
(本紙「ニッポン消費者新聞」5月1日消費者月間特集号より一部転載)
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