【英国】動物病院の治療費「不透明」 当局が本格調査を提案

獣医療業界の価格設定や治療に関する情報が不透明で、消費者が最善の決定を下せる状況にないとして、英競争・市場庁(CMA)が市場に対する本格調査に乗り出すことを提案した。現在、業界を交えて調査に向けた協議が行われている。これを受け、消費者団体Which?は「どの飼い主も公正なサービスが利用できるよう規制当局は強力な措置を講じるための環境整備をしてほしい」と求めている。

CMAの事前審査によると、企業が同じ地域で複数の動物病院を経営し、反競争的な環境の中でサービスが提供されていることが判明。価格の透明性の欠如やサービス・治療に関する情報不足などの課題が明らかになった。

具体的には、多くの動物病院はウェブサイトに価格を公開しておらず、10施設のうち8施設以上が基本的なサービスについての価格すら公表していなかった。また、飼い主の5人に1人が「検査に同意する前に料金について説明がなかった」と報告、10人に1人は「費用についての説明がまったくなかった」と答えた。

動物病院の寡占化も深刻で、2013年当時、大規模グループに所属する動物病院は10施設中1施設だったが、現在、その割合は10施設中6施設近くにまで上昇。大規模グループが買収によるさらなる事業拡大を目指していることもわかった。消費者の多くは動物病院のサービスを比較せず、価格はどこも同じと考える傾向があり、CMAは「ペットの飼い主は薬や処方箋に過剰なお金を払っている可能性がある」と指摘した。

Which?が実施した消費者アンケートによると、飼い主の10人に3人が動物病院の価格に大きな違いはないと考えていたほか、グループ系病院の利用者の3人に1人が独立系病院だと誤解していることがわかった。一方で、4人に1人以上が「獣医師の勧める治療が本当に必要なのか疑ったことがある」と答えた。ある消費者は「ノミ・マダニ駆除薬を購入する際に必要な獣医師の処方箋の料金が1年で2倍に値上がりした。獣医師からは、ほかの病院も同じように値上げしていると説明された」と報告している。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. 高齢消費者・障がい消費者見守りネットワーク連絡協議会
    消費者庁は10月16日、高齢者や障がい者の地域見守り活動についての情報共有化をめざして「高齢消費者・c
  2. 米消費者製品安全委員会
    米国消費者製品安全委員会(CPSC)は11月18日、複数の事故が発生していることを把握していながら直c
  3. 電話相談
    ◎全国有料老人ホーム協会が開設 経験豊富な相談員が対応 公益社団法人全国有料老人ホーム協会(有老協c
  4. JAPA中下裕子代表理事
    ◎東京消費者団体連絡センター主催の学習会で PFAS(有機フッ素化合物)問題への理解を深めようと、c
  5. 英国の消費者団体Which?
    英国の消費者団体Which?は11月14日、5月に施行された「反グリーンウォッシュ規則」などへの違反c

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る