「安全・安心」な引越を 「引越安心マーク」制度導入4年目に
- 2018/3/6
- 企業・商品
信頼性を確保する厳しい審査基準
引越安心マーク制度は厳格な審査を前提とする。マークを取得する引越輸送事業者には厳しい要件が課せられる。それを取得後も常に遵守していることが「引越事業者優良認定制度」の特徴だ。
その要件の一つが「Gマーク」取得を前提にしていること。Gマークは同協会が2003年から運用してきた「安全性優良事業所マーク」のこと。安全性の高い運送事業所に付与されている。昨年12月現在、このGマークの認定事業所は全国に6597。「引越事業者優良認定制度」に基づく「引越安心マーク」は、このGマークをまず取得していることが対象となる。
礎部長は「安全対策を優先すること、そのためにGマーク取得を前提条件とし、その上で、クリアーすべき様々な要件を認定基準として盛り込んでいます。消費者相談窓口体制の整備・充実・強化も引越安心マーク認定への重要な要件です」
認定審査には行政・消費者・有識者などで構成する第三者機関が取り組む。認定申請事業者は引越標準約款をきちんと遵守していること、全日本トラック協会が実施する引越講習を受け、その修了者が各事業所に最低一人は従事していること、さらに「お客様相談窓口」を設置し、消費者対応に積極的に取り組んでいること、その窓口の責任者が年1回開催される研修会を必ず受講すること、などが求められる。
マークを取得するだけではなく、その後のチェックも厳格だ。3年毎の更新制度だが、更新事業者であっても、「全日本トラック協会のお客様対応窓口である“引越安心相談窓口”と連携し、約款や関係法令に沿ったお客様対応を行うため、当協会が開催するお客様対応責任者研修会議に出席することが義務付けられています」
申請書にはそう記載されている。その研修会議は今年の場合、4月~6月に開催されるという。竹内課長代理は「定期的な確認が必須なのです。そうでないと、マーク取得事業者が消費者トラブル防止と解決へ向けた社内体制を整備していることを保証できません」
消費者と事業者の話し合いや合意を重視して双方がうまく連携する、そのようなサービス提供に寄与するのが引越安心マーク制度の特徴とする。
標準約款改正にも対応、周知徹底を図る
引越安心マークの認定基準の一つに、国交省が提示する標準引越運送約款の厳守があげられている。今年1月、この標準約款が改正・公布され、6月1日から施行されることとなったインターネットを利用した業者選定が増加していること、単身世帯が増加し、「積合わせ運送」への社会的ニーズが高まっていること、さらに運送ドライバーの圧倒的不足、などの環境変化が大きい。改正約款は他業種の標準約款も参考に国交省検討会で審議されてきた。引越運送事業の適正化を目指すもので、同協会ではその周知活動にも取り組んでいく。
礎部長は「それらを含め引越に際してわかりやすく紹介した消費者向けリーフレットの作成・配布も予定しています。引越トラブルにあわないように、下見を受けること、その上できちんとした見積書を作成・提供してもらうこと、実態にあわせてその点へのアドバイスも盛り込みたいと思います」
同協会では、混雑する引越シーズンを避けるために「分散引越」も提唱している。トラブルのない、より安全・安心な引越サービスの提供をめざす。
余裕を持った引越にこしたことはない。まずは、その一環として消費者には「引越安心マーク」の活用が求められる。
(本紙「ニッポン消費者新聞」3月1日号より転載。取材協力・全日本トラック協会)
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