【豪州】住宅用太陽光65万台が点検業者不在 相次ぐ破綻で
- 2019/4/8
- 海外
豪州の消費者擁護団体CALC(Consumer Action Law Centre)は4月3日、一般住宅用の太陽光発電を巡る消費者保護策が遅れているとして、ビクトリア州政府に対し、規制の強化を要求した。事業者の破綻や悪質勧誘の横行が相次ぎ、被害が深刻化しているという。
同国では180万台(2017年時点)もの住宅用太陽光が普及しているが、販売・設置事業者の相次ぐ破綻により多くの「孤児」(点検・管理業者が見つからない設備)が発生している。CALCの報告によると、2011年3月から今年1月末までに690社が倒産もしくは営業停止し、推定で65万台の太陽光が孤児状態にある。ある業界関係者は、4~6週間に10社以上のペースで廃業リストに追加していると打ち明けた。
また、「儲かる」とあおって勧誘したり、契約するまでしつこく居座る訪問販売などが横行。設置の不備や不公正な契約なども多数報告されている。業界には自主規制があるものの、パネル製造販売、設置、配電、電気小売りなど関係事業者が複雑に入り組み、監視が行き届かない状況。CALCは「参入・撤退するサプライヤー、州や政府による太陽光普及刺激策、複雑な契約内容などによって被害が広がる構造になっている」と指摘する。
太陽光市場は拡大が続く見通しで、20年以内に同国内の発電量の45%を占めると推計される。同団体は「消費者トラブルが頻発する中で、自主規制以外に消費者保護策が打ち出されたことはなかった」と指摘し、認可制の導入や被害補償基金の設立などの法規制を要求した。