用途広がるカセットボンベ、ガストーチ事故増加 NITE初集計

家庭用カセットコンロに使用するカセットボンベの破裂・引火事故が相次いでいるとして、NITE(製品評価技術基盤機構)は12月21日、注意を呼びかけた。ボンベの過熱や装着ミスなどが主な原因。カセットボンベの用途が広がる中、カセットコンロに加え、料理に焦げ目をつけるガストーチや専用のガスストーブでも事故が起きていて、NITEは正しい使用を呼びかけている。

ガストーチ事故急増

料理などに使うガストーチ。カセットボンベに正しく取り付けないとガスが漏れて事故につながる(実際の事故品とは別のもの)

NITEによると、2016年度までの5年間に、カセットボンベを使った製品事故が136件発生し、1人が死亡、5人が重傷を負った。製品別では一般家庭に広く普及しているカセットコンロによる事故が84件と最も多く、事故全体の64%を占めた。そのほか、料理に焦げ目をつけるガストーチの事故が32件、カセットボンベを燃料とする専用のガスストーブの事故が12件起きていた。

近年、増加が目立つのがガストーチの事故。カセットボンベに装着して使用するが、調理中や点火時、炭火おこしの際に事故が起きていた。クッキングバーナーなどの名称でホームセンターなどで3000円程度で購入でき、利用者が増えているもよう。NITE製品安全センターの穴井美穂子リスク広報課長は「32件の事故はいずれも一般家庭用の製品によるもの。ガストーチの事故を集計し、公表したのは今回が初めてとなる」と説明した。

長野県で16年9月、ガストーチのボンベを固定する部品が破損していた上、装着位置を間違えたため、漏れたガスに引火し、20代の男性が手にやけどを負う事故が発生。使用時に製品を傷つけたためガスが漏れ、60代の男性が重傷となる事例も報告された。

カセットボンベの中身は液化石油ガスで、L字のパイプを通して気化したガスのみを取り出す構造。ボンベを過熱すると内部で気化したガスが膨張し、缶が破裂する恐れがある。また、機器に正しく装着しないとすき間からガスが漏れたり、液体のまま大量に噴出したりする。

ガストーチはキッチンで使用することが多い。ボンベに正しく装着し、火の近くに置かないことが重要。炎の吹き出し部分は金属製で、使用後もやけどに注意が必要だ。

関連記事

消費者運動年鑑2023

ニッポン消費者新聞最新号発行しました

新着記事

  1. コンシューマーリポート
    4月22日のアースデイを前に、米国の消費者団体コンシューマー・リポートは気候変動が消費者の財布に与えc
  2. 警察庁
    警察庁がまとめた生活経済事犯の検挙状況によると、2023年に全国の警察が摘発した特定商取引等事犯は前c
  3. 電話相談
    埼玉弁護士会と埼玉司法書士会は4月20日(土)と21日(日)に電話相談「敷金(賃貸住宅)トラブル11c
  4. チャイルドシート衝突試験
    英国の消費者団体Which?は4月11日、ペグ・ペレーゴ社製チャイルドシートの前面衝突試験を行ったとc
  5. アパレルのエシカル通信簿
    ◎8社が消費者志向経営方針策定/情報開示、投資家に力点 「もっと消費者に提供を」 市民目線で企業のc

記事カテゴリー

トレンドニュース

  1. 全葬連石井時明会長

    2020-1-22

    登録制度導入も視野に 葬祭業めぐり3省庁が情報交換

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)の石井時明会長は1月21日、同連合会と全日本葬祭業政治連盟の合同c
  2. 全日本葬祭業協同組合連合会

    2020-1-9

    国際葬儀連盟、横浜で6月に世界大会 18年ぶりの日本開催

    今年6月、横浜で世界の葬儀関連事業者が集う世界大会が開催される。主催する「FIAT-IFTA」(国際c
  3. 葬儀事前相談員資格認定試験

    2019-11-20

    葬儀の事前相談員資格認定試験を実施 全葬連

    経済産業大臣認可の「全日本葬祭業協同組合連合会」(全葬連、石井時明会長)は11月18日と19日の両日c
  4. チーズフェスタ2019

    2019-11-12

    チーズフェスタに6千人超、「チー1グランプリ」も決定

    チーズ普及協議会と日本輸入チーズ普及協会は11月10日と11日の両日、東京渋谷区・恵比寿の「エビススc
  5. 全葬連第44回通常総会懇親会

    2019-5-22

    来年の国際葬儀連盟世界大会への準備推進 全葬連

    全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連、石井時明会長)は5月21日、第44回定期総会を都内で開き、来年6c
ページ上部へ戻る